売上はあるのに手元へ利益が残らず、どの数字から直すべきか迷っている飲食店オーナーへ。
この記事では「客足減より先に、光熱費6割増で利益が消えている」を、読み物ではなく、自店の数字で判断して次の行動を決めるための材料に変えます。最後まで読むと、最初に確認する数字、今週実行する1項目、専門家へ相談すべき境界が分かります。
【数値の読み方】
この記事内の数値は、出典を明記した統計を除き、改善を保証する実績ではありません。条件を理解するためのモデル計算・試算例です。実際の結果は、業態、立地、営業時間、客数、価格、原価、人員構成で変わります。
この記事を読み終えたら、「猛暑で客足が落ちる」という不安に振り回されず、今月の利益を実際に削っている数字がどこにあるかを、自分の店の数字で確認できるようになる。
7月、シンクロ・フードが飲食店経営者に行った調査で、約7割が「猛暑による客足減」を不安視し、約6割が「光熱費の増加」を予測しているという結果が出た(PR TIMES、8月12日)。冷房の効いた店内でグラスの結露を拭きながら、今月の電気代の請求書を思い浮かべた店主も多いはずだ。
ただ、同じ時期にフードリンクニュースが報じた数字を見ると、少し違う景色が見える。7月の飲食関連「景気現状判断DI」は47.5で、前月比+5.7ポイント。夏休み需要でファストフードを中心に客足はむしろ戻っているという(フードリンクニュース、8月12日)。「猛暑イコール客が減る」という体感と、業界全体の数字には、ズレが生まれている。
客足ではなく、配分が崩れている
金曜19時、満席に近いカウンターを見て「今夜は悪くない」と感じても、月末に試算表を開くと利益が思ったほど残っていない、という相談を受けることがある。原因を数字で分解すると、客数はほとんど落ちておらず、光熱費と冷却関連のロス(食材の傷み・仕込みのやり直し)が想定より膨らんでいるケースが多い。席数20・客単価4,000円ほどの想定モデルで試算すると、光熱費率が売上の1ポイント動くだけで、月の利益は数万円単位で変わる。客足を心配して集客に予算を割く前に、いま出ている利益がどこで削れているかを先に見たほうがいい。
猛暑期に見るべき3つの数字
- 客数(先月比):体感ではなく、POSやレジの実数で比較する
- 光熱費率(売上に対する電気・ガスの比率):前年同月と並べて確認する
- 廃棄・仕込みロス率:冷蔵・冷凍設備の稼働時間が伸びる時期は特に見ておきたい
このうち、経営者が一番後回しにしがちなのが光熱費率だ。客数や客単価は毎日目に入るが、光熱費は月末の請求書が来て初めて意識される。約6割が増加を予測しているということは、先に対策を打った店とそうでない店とで、この夏だけで差がつく数字でもある。
客単価を守るほうが、即効性がある
冷房を弱めたり営業時間を削ったりする発想は、客数そのものを犠牲にしやすい。もう一つの選択肢は、猛暑期に出しやすいメニュー(冷製・提供が早い・仕込みが軽い)を1品前に出し、客単価をわずかでも底上げすることだ。原価と提供時間のバランスが取れた1品を看板に置くだけで、光熱費の増加分を客単価側で吸収できている店は少なくない。値上げのように客数を落とすリスクを伴わずに、利益側の数字を動かせる点が大きい。
冷製メニューを1品足す場合、仕込みの手間が増えるようでは意味がない。氷や冷蔵ショーケースをすでに稼働させている厨房なら、そこに乗せられる形で設計するのが現実的だ。新しい設備を入れるより先に、いま冷やしている設備の上で何が出せるかを考えたほうが、投資額をかけずに客単価だけ動かせる。
まとめ
- 「客足が減る」という不安と、実際の景況感(DI47.5、前月比+5.7pt)にはズレがある場合がある
- 猛暑期は光熱費率と廃棄ロス率を、前年同月と並べて先に確認する
- 客数対策より先に、猛暑期向けの客単価アップ策を1品試すほうが即効性があることが多い
実際の数字を使ったシミュレーションと、光熱費率を改善した店がどの順番で判断したかについては、有料note版でさらに詳しく解説している。
今日の営業後、まず今月と前年同月の電気代の請求書を並べて、増減率だけ確認してほしい。それだけで、来月何を見るべきかが変わってくる。
原価・利益・値上げの判断に迷ったときは、C’est parti&Hで相談を受け付けている。詳しくは経営コンサルティングのページを見てほしい。
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