売上は出ているのに利益が残らず、「どの商品から直せばよいか」が分からない小規模飲食店オーナーへ。
この記事では、メニュー別の売上・出数・粗利額を並べるABC分析を使い、売上上位の商品を感覚で値上げ・削除する前に、利益を圧迫している商品を見分ける手順を解説します。今日中にPOSデータと原価表から対象商品を3つまで絞れる形にしました。
帝国データバンクの2026年7月調査では、企業全体の価格転嫁率は39.9%で、原材料費の転嫁率も47.3%でした。また同社の2026年2月調査では、飲食店の価格転嫁率は32.8%と報告されています。調査対象や定義には注意が必要ですが、仕入れ上昇分を販売価格へそのまま移せない店ほど、「何が売れたか」だけでなく「何が粗利を残したか」を確認する必要があります。
飲食店のABC分析は、売上順位だけで終わらせない
ABC分析は、商品別の実績を大きい順に並べ、構成比と累計構成比から重点管理する商品群を分ける方法です。東芝テックは飲食店向けの解説で、売上だけでなく、出数と粗利についても集計し、総合的にメニュー改訂を検討する必要があるとしています。
売上順位だけを見ると、高単価でよく出る商品が上位になります。しかし、その商品が高原価で、仕込み時間も長ければ、売れているのに店全体の利益が薄くなることがあります。反対に、売上順位は2位でも、1食あたりの粗利額が大きく、短時間で安定して提供できる商品は、利益改善の軸になり得ます。
最初に用意する数字は5つです
対象期間を直近4週間、または営業日数が同程度の1か月にそろえ、主力商品から次の5項目を集めます。
- 商品名
- 販売価格(税込・税抜の基準を統一)
- 販売数
- 1食あたりの食材原価
- 仕込み・盛り付け・提供に必要な時間
原価表が古い場合は、少なくとも販売数上位10品だけでも直近の納品価格へ更新します。全品を完璧にするまで待つより、利益への影響が大きい商品から確認する方が早く判断できます。
粗利額で見るABC分析の3ステップ
1. 商品別の月間粗利額を出す
計算式は次の通りです。
1食あたり粗利額=販売価格-1食あたり食材原価
月間粗利額=1食あたり粗利額×販売数
ここでは食材原価を引いた段階の粗利を扱います。人件費、家賃、決済手数料、広告費などは含まれません。したがって、粗利額が大きいだけで最終利益が大きいと断定せず、後の工程で提供時間や追加費用も確認します。
2. 粗利額の大きい順に並べる
各商品の月間粗利額を合計し、商品ごとの構成比を出します。
粗利構成比=商品別月間粗利額÷全商品の月間粗利額
東芝テックの例では、累計75%までをA、75%超から95%以下をB、それ以外をCとしています。ただし、この境界は絶対的な合否基準ではありません。店の品数や季節性に合わせ、重点的に見る範囲を決めるための目安として使います。
3. 売上順位・出数順位と重ねる
粗利Aの商品でも出数が少なければ、認知やメニュー配置に改善余地があります。出数Aなのに粗利Cなら、値付け、ポーション、仕入れ単価、セット構成、提供工程を確認します。売上・出数・粗利の3つを重ねることで、「人気がない」のか「売れても利益が薄い」のかを分けられます。
計算例:売上1位と粗利1位は同じとは限らない
以下は手順を示すためのモデル計算です。実在店舗の実績ではありません。
| 商品 | 販売価格 | 食材原価 | 販売数 | 月間売上 | 月間粗利額 |
|---|---|---|---|---|---|
| Aコース | 1,600円 | 800円 | 100食 | 160,000円 | 80,000円 |
| Bパスタ | 1,200円 | 300円 | 120食 | 144,000円 | 108,000円 |
| Cサイド | 700円 | 140円 | 100食 | 70,000円 | 56,000円 |
Aコースは売上1位ですが、粗利額ではBパスタが1位です。売上順位だけでAコースを看板商品として強く押すと、粗利改善の機会を逃す可能性があります。
ただし、Bパスタに長い仕込みや熟練者の作業が必要なら評価は変わります。東芝テックの解説でも、メニュー原価には労務費が含まれないため、材料以外の経費確認が必要とされています。次に1食あたり提供時間と混雑時のボトルネックを記録してください。
4つの組み合わせで改善策を決める
出数が多く、粗利額も大きい
主力として守る商品です。欠品、品質低下、提供遅れを防ぎ、メニュー上の見つけやすさを維持します。
出数が多く、粗利額が小さい
値上げだけでなく、ポーション、付け合わせ、仕入れ規格、セット化を確認します。お客様の支持があるため、急な削除は避け、1変数ずつ試します。
出数が少なく、粗利額が大きい
メニュー上の位置、写真、商品説明、スタッフの提案で注文率を高める余地があります。2週間など期間を決め、表示や声かけだけを変えて販売数を比較します。
出数が少なく、粗利額も小さい
改廃候補です。ただし、季節商品、集客商品、コース構成に必要な商品は役割が別です。単品の数字だけで即時削除せず、目的を確認します。
今日実行するチェックリスト
- 対象期間を直近4週間または1か月に統一した
- 販売数上位10品の販売価格と食材原価を更新した
- 1食あたり粗利額と月間粗利額を計算した
- 売上・出数・粗利額の3順位を並べた
- 出数が多く粗利額が小さい商品を3品まで絞った
- 仕込み・提供時間と追加手数料を確認した
- 変更する項目を価格、量、仕入れ、セット、表示のうち1つに絞った
- 変更前の販売数と粗利額を保存し、2週間後に比較する日を決めた
店全体の利益構造から先に確認したい場合は、飲食店経営の無料5分診断も使えます。原価表の更新方法は飲食店の原価管理、作業時間まで含めた判断は1人時売上高でシフトを見直す手順で補足しています。
自己対応できる範囲と、専門支援を使う判断基準
POSから商品別売上と販売数を出せて、上位商品の原価表が更新されているなら、初回のABC分析は自店で実施できます。まず10品、1期間、1つの変更から始めてください。
一方、次の状態なら、値上げやメニュー削除の前に第三者と数字を整理する意味があります。
- 原価表と実際の仕入額が合わず、差の原因を分けられない
- 人気商品を直すと客離れしそうで判断できない
- 粗利は出ているのに、人件費や手数料を含めると利益が残らない
- 厨房の提供能力が詰まり、売上機会を失っている
- 店長、料理長、経営者で優先商品が一致しない
私は飲食業界で20年、統括料理長と40拠点のマネジメントを経験してきました。現場の感覚は大切ですが、変更前後の数字を残さないと、改善が効いたのかを判断できません。C’est parti&Hでは、商品別の数字と現場オペレーションを分けずに整理します。
売れているのに利益が残らない商品を整理したい方へ
LINE無料相談では、商品別の売上・出数・粗利額を見ながら、最初に直す商品と、今は触らない商品を整理します。
- 相談対象:売上はあるが利益が残らず、メニュー改定の優先順位を決めたい飲食店オーナー
- 相談で整理できること:利益を圧迫する商品の候補、変更する1変数、2週間後の判定指標
- 準備する情報:直近4週間の商品別売上・販売数、上位10品の食材原価、主な提供時間
- 相談後の流れ:現状確認後、自己対応できる範囲と、必要な場合の支援範囲を分けてご案内します
まとめ
飲食店のABC分析は、売上順位だけでは不十分です。売上、出数、粗利額を並べ、提供時間や手数料まで確認して、初めて改善対象が見えます。まず直近4週間の上位10品から、出数が多いのに粗利額が小さい商品を3品まで絞ってください。変更は1つに絞り、2週間後の販売数と粗利額で判断します。

