
「またホールが1人辞めます」——土曜19時、予約が5組重なっているのに、厨房から上がってくるオーダーをさばく手が足りない。今月、そんな夜を何度過ごしたでしょうか。この記事を読み終える頃には、外国人材に頼れなくなった今の状況で、来月の求人費をかけずに離職を1人減らすための最初の一手が分かります。
2026年4月13日から、外食業の特定技能1号は新規受け入れが原則停止されました。農林水産省と出入国在留管理庁によると、在留者数が受け入れ上限の5万人に迫ったための措置とされています。今就労中の方の在留更新や外食業内での転職は引き続き認められていますが、新規採用の一つの選択肢としては事実上使えなくなった店が少なくありません。人手不足の穴を「新しく採る」ことで埋めてきた店ほど、今回の停止の影響は大きいはずです。
起きている変化を数字で見る
席数20・時給1,100円のホールスタッフが1人辞めると、求人広告費と教育期間中の生産性ロスを合わせて、条件次第では15万円前後のコストがかかると言われています。年に3人辞めれば45万円。求人媒体を増やして母数を確保するやり方は、外国人材という選択肢が狭まった今、以前より効きにくくなっています。だからこそ、今いる人を辞めさせない側の仕組みに、比重を移す必要があります。
実践法1:面接の「歩留まり」を先に測る
新しい求人媒体を検討する前に、直近半年の「応募→面接→採用→3か月継続」の歩留まりを数字にしてください。応募10件のうち面接に来るのが4件、採用まで進むのが2件、3か月後も残るのが1件だとしたら、穴が空いている段階はどこか。ここを把握せずに広告費だけ増やしても、穴の空いたバケツに水を注ぐのと変わりません。
実践法2:初日ではなく「初月」を仕組み化する
新人が辞める理由の多くは、初日の教え方より、2週目以降に「誰に聞けばいいか分からない」状態に陥ることです。誰が・いつ・何を教えるかを1枚の表にまとめておくだけで、教育担当者がその日誰であっても、質にばらつきが出にくくなります。
実践法3:シフトの属人化をなくす
「あの人がいないと金曜のピークが回らない」という状態は、その人自身の辞めにくさと引き換えに、実際に辞められたときの崩壊リスクを店に抱えさせています。ピーク帯の役割を複数人がこなせるよう、月1回だけでも担当をローテーションしてみてください。
実践法4:辞める前の小さなサインを拾う
急な欠勤の増加、休憩中の私語の減少、シフト希望の急な変化。こうしたサインは、実際に辞める1〜2か月前から出ていることが多いと言われています。週1回、5分でいいので店長がスタッフ一人ひとりと言葉を交わす時間をつくることが、離職の予兆に気づく一番の近道です。
実践法5:採用条件そのものを見直す
日本人採用にシフトする以上、時給や休みの取りやすさといった条件面が、近隣の同業他店と比べてどう見えるかも避けて通れません。求人票を出す前に、徒歩10分圏内の競合3店の時給と休日条件を一度調べてみてください。
このあたりの「歩留まりの数字」「教育コストの回収シミュレーション」「定着率が実際に何%変わったか」は、実店舗をもとにした想定モデルの数字を使って有料note版でさらに詳しく解説しています。気になる方はあわせてご覧ください。
まとめ
- 特定技能1号の新規受け入れは2026年4月13日から原則停止
- 離職1人あたりのコストを先に数字で把握する
- 歩留まり・初月教育・シフト属人化・離職サイン・採用条件の5点から着手する
自店の採用・定着の仕組みを一緒に見直したい方は、経営コンサルティングのご案内もご覧ください。
今日の営業後にまずやること:閉店後、直近半年で辞めたスタッフを1人思い出し、辞める1か月前に何かサインがなかったか、レジ締めのメモ帳に書き出してみてください。それが、来月の離職を1人減らす最初のデータになります。
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