
「先月と同じように仕入れているのに、なぜか利益が薄くなっている」——2026年、そんな感覚を持つ飲食店経営者は少なくないと言われています。帝国データバンクの調査によれば、2026年7月だけで食品主要195社の値上げは2,566品目にのぼり、単月で2千品目を超えるのは3カ月ぶりの水準とされています。加えて、いわゆる「チキンショック」と呼ばれる鶏肉相場の高騰も外食業界に広がり、一部メニューの休止や食材変更を迫られる店も出てきていると報じられています。
こうした状況で多くの店がまず考えるのは「値上げ」ですが、値上げだけに頼る経営はお客様の納得感を損ないやすく、限界もあります。本当に必要なのは、原価がどこでどれだけ動いているかを日常的に「見える化」し、仕入れやメニュー構成で先回りして対応できる仕組みです。この記事では、原材料高騰の時代に利益を守るための原価管理の実践法を7つに整理してご紹介します。
なぜ今、原価管理の「見える化」が必要なのか
多くの個人店では、原価率は「決算のときに気づく数字」になりがちです。しかし食材価格が毎月のように動く2026年は、月末にまとめて把握するのでは対応が後手に回ります。メニューごとの原価率をリアルタイムに近い形で把握できれば、値上げが必要なメニューと、量や構成の見直しで吸収できるメニューを早い段階で切り分けられます。
実践法1:メニュー単位で原価率を月次管理する
店全体の原価率だけでなく、メニュー1品ごとの原価率を管理表にまとめましょう。人気商品でも原価率が高いままだと、売れるほど利益が薄くなってしまいます。エクセルや原価管理アプリでも構いません。まずは主力メニュー10〜15品からで十分です。
実践法2:「FL比率」だけでなくメニュー別粗利で見る
FL比率(食材費+人件費の売上比率)は経営全体の健康診断として有効ですが、それだけでは「どのメニューが利益を生んでいるか」は見えません。メニュー別の粗利額を可視化し、看板メニューと利益貢献メニューを分けて考えることが重要です。
実践法3:仕入れ先の複数化と価格交渉を仕組み化する
特定の仕入れ先に依存していると、値上げ通知をそのまま受け入れるしかなくなります。主要食材については代替の仕入れ先を最低1つ確保し、価格改定のタイミングで相見積もりを取る運用をルール化しておきましょう。
実践法4:高騰しやすい食材はメニュー構成で吸収する
鶏肉や油、輸入食材など相場変動が大きい食材に依存したメニュー構成は、原価が読みにくくなります。看板メニューは維持しつつ、価格変動の影響を受けにくい食材を使ったメニューを増やし、全体の原価を平準化する工夫も有効です。
実践法5:ロス率を数値化して原価に反映する
仕込みすぎや食材の傷みによる廃棄は、原価表に表れない「見えないコスト」です。週単位でロス量を記録し、原価率の実態値として反映させることで、初めて正確な利益構造が見えてきます。
実践法6:原価表・レシピカードを常に最新化する
原価表が半年前の仕入れ価格のままというケースは珍しくありません。主要食材の仕入れ価格が変わったタイミングで原価表を更新するルールを決めておくと、判断のズレを防げます。
実践法7:値上げ判断をルール化しておく
「原価率が◯%を超えたら検討する」といった基準をあらかじめ決めておくと、値上げの判断が感覚ではなく数字に基づくものになり、社内での説明もしやすくなります。
実際の数字を使った具体的なシミュレーションと事例は、有料note版で詳しく解説しています。原価率が実際に何%から何%に変わり、月商・利益にどう影響したのかといった数字に関心のある方は、ぜひあわせてご覧ください(https://note.com/hache_waka)。
なお、こうした原価管理の仕組みづくりは、日々の営業と並行して進めるのが難しいテーマでもあります。原価計算や利益改善のコンサルティング支援では、メニュー別の原価分析から仕組み化までを一緒に整理していきます。
まとめ
- メニュー単位で原価率・粗利を月次管理する
- FL比率だけでなくメニュー別の粗利で判断する
- 仕入れ先を複数確保し、価格交渉をルール化する
- 相場変動の大きい食材への依存を減らし構成を平準化する
- ロスを数値化して原価の実態を正確に把握する
- 原価表・レシピカードを定期的に更新する
- 値上げ判断の基準をあらかじめ決めておく
原材料高騰は今後も続くと見られており、原価管理を「仕組み」にできるかどうかが、これからの飲食店経営の差になっていきます。
C’est parti&Hでは、飲食店の原価計算・利益改善から集客・採用まで、経営全体をサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。

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