金曜の仕込み中、新メニューの試作を味見して「これは客単価が上がる」と直感する瞬間がある。だがその直感だけで発注書を書いてしまうと、2週間後には仕込み担当がまわらず提供時間が伸び、原価も想定より2割高くつくということが起きる。この記事を読めば、新メニューを導入する前に見るべき数字と手順が分かり、今日の仕込みから確認できるようになる。
「話題性」だけで選ぶと利益を削る理由
2026年下半期のメニュー開発では「作りやすさ」と「パーソナライズ・健康志向」が両立軸になっていると複数の業界メディアが伝えている。裏を返せば、調理が複雑な話題メニューほどスタッフ教育に時間がかかり、品質のばらつきと提供遅れの原因になりやすいということだ。金曜19時、2回転目でホール担当がひとり足りない中、新メニューの盛り付けに3工程かかるだけで提供が5分遅れる。その5分が客の滞在時間を押し、次の予約客を待たせる。話題性が先に立つと、この現場側のコストが見えなくなる。
判断基準①:調理工程数で「作りやすさ」を測る
新メニューを検討するときは、盛り付けまでの工程数を紙に書き出してみるとよい。目安として、既存メニューの平均工程数より2工程以上多いものは、ピーク帯に提供遅れを起こしやすいと考えられている。工程が多いこと自体が悪いのではなく、その工程数に見合う人員配置とタイミングを先に決めておくかどうかが分かれ目になる。仕込み場で新メニュー用に仕入れた食材を使い切れず、閉店後に廃棄が出るという事態も、工程設計を先に詰めていれば防げるケースが多い。
判断基準②:原価率でなく粗利額とロス率で見る
席数20・客単価4,000円の店を想定する。原価率30%の新メニュー(想定原価400円・売価1,200円)を月200食売った場合、粗利は月16万円になる。一方、原価率35%でも粗利額が280円取れる別メニューを同じ200食売れば粗利は月14万円と、原価率だけでは判断できない差が出る。ここに廃棄ロス率が加わると数字はさらに動く。ロス率10%の新メニューは、実質的な原価が想定より1割上振れするため、発注時点でロス込みの原価を計算しておく必要がある。
実際の数字を使ったシミュレーションと、原価率40%と気づかずに出し続けていた一杯を28%まで戻した個人店の事例は、有料note版で詳しく解説している。工程設計から仕入れ交渉まで、現場でそのまま使えるテンプレート付きでまとめた。
新メニュー導入前チェックリスト
- 盛り付けまでの工程数が既存メニュー平均+2工程以内か
- ピーク帯(金土19〜21時想定)に対応できる人員配置を組めるか
- 原価率だけでなく、1食あたりの粗利額を計算したか
- 廃棄ロス率を織り込んだ実質原価で採算を見たか
- 試作を最低3日、実際のピーク帯で提供してみたか
- 仕入れ量をスモールスタートで発注できるか
- 2週間後に売上・廃棄・提供時間を振り返る日を決めてあるか
詳しい集客の考え方は飲食店の集客・SNS活用ページでも解説している。メニュー開発は集客とセットで設計すると、客単価アップの効果がより長く続く。
まとめ
新メニューは「話題になるか」でなく「工程数と粗利額で成立するか」で判断する。今日の営業後、直近3カ月で導入した新メニューを1つ選び、盛り付けまでの工程数と実質原価(ロス込み)を紙に書き出してみてほしい。それだけで、次に導入するメニューの精度が変わる。
アッシェ企画では、飲食店の経営数字を踏まえたメニュー開発・原価管理のご相談を承っている。ご自身の店の数字で一緒に採算ラインを確認したい方は、お気軽にご相談を。


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