売上はあるのに手元へ利益が残らず、どの数字から直すべきか迷っている飲食店オーナーへ。
この記事では「FL比率60%、その内訳まで見ていますか」を、読み物ではなく、自店の数字で判断して次の行動を決めるための材料に変えます。最後まで読むと、最初に確認する数字、今週実行する1項目、専門家へ相談すべき境界が分かります。
23時、レジを締めた後の電卓の横に、今月の月次シートを広げる。売上は先月より伸びている。それなのに、口座に残る金額は先月とほとんど変わらない——そんな夜に心当たりがある店主は多いはずだ。
トリドールホールディングスの第1四半期は、売上収益が過去最高を記録した。それでも人件費の増加などで事業利益は減益になったと報じられている(流通ニュース・2026年8月14日)。売上が伸びても、それを上回るスピードでコストが動けば、利益は静かに消えていく。大手チェーンの話に見えて、これはむしろ個人店のほうが起きやすい現象だ。仕入れの規模も、採用の選択肢も、大手ほど余裕がないからだ。
原価率だけを見ていると、利益は守れない
原価率を気にする店主は多い。だが、原価率だけを見ていると、もう一つの大きな変動費——人件貶を見落とす。原価率と人件貶率を足した「FL比率」(Food=食材費、Labor=人件費)こそが、利益が残るかどうかを決める本当のものさしだ。
私はリゾートホテル40カ所のマネジメントに携わり、うち6カ所で洋食部門のメニュー開発を担当してきた。現場で徹底してきたのは、1店舗あたり人件費25%以内という基準を守りながら、原価率とセットで利益を設計することだった。原価率だけを下げても、人件貸が先に膨らんでいれば、利益は結局残らない。
金曜19時、満席のカウンター。厨房は忙しく、ホールも動き続けている。売上は上がっているように見える。だが、その日のためにシフトを1人多く入れていれば、その分の人件貸はすでに利益を削り始めている。原価率が正常でも、人件貸率が想定より2〜3%高いだけで、FL比率は簡単に60%を超える。
自分の店のFL比率を、3ステップで出す
FL比率の計算自体は難しくない。次の3ステップで、今月の数字から出せる。
- 今月の売上高を確定させる(レジ締めの数字でよい)
- 今月の食材原価(仕入れ額の合計)を確定させる
- 今月の人件貸(社員給与+アルバイト・パートの合計、社会保険料込み)を確定させる
この3つを(原価+人件貸)÷売上高×100で計算すると、FL比率が出る。飲食店の一般的な健全ラインは60%以内とされる。65%を超えている場合は、原価か人件費のどちらか、あるいは両方が構造的に高くなっているサインだ。
FL比率60%と62%の差は、思ったより大きい
月商300万円の店を想定する。FL比率が60%なら、原価・人件貸��合計は180万円。62%なら186万円。差はたった6万円に見える。だが、家賃・水道光熱費・その他固定費を引いた後の営業利益ベースで見ると、この6万円がそのまま利益の増減に直結する。月商に対する利益率がもともと5〜10%程度の業態では、この2%の差だけで利益が半分近く動くことも珍しくない。
人件貸が上がる理由は一つではない。最低賃金の上昇、採用難による時給の引き上げ、繁忙期のシフト増——どれも売上を作るために必要な動きであることが多い。だから「人件貸を削る」という単純な発想では対応できない。必要なのは、FL比率を毎月同じタイミングで測り、上がり始めた瞬間に気づける状態を作っておくことだ。
実際にどこまで数字が動くかは、席数・客単価・人件貸構成によって店ごとに変わる。実数を使ったシミュレーションと、FL比率が悪化したときの立て直し手順は、有料note版で詳しく解説している。
今日からできる、FL比率の定点観測
大掛かりな仕組みは要らない。今日やることは一つだけだ。今月のレジ締めの数字を使って、上記の3ステップでFL比率を一度計算してみてほしい。60%を超えていたら、それは「今は忙しいから仕方ない」で流していい数字ではなく、来月のシフトと仕入れを見直すサインになる。
売上が伸びているときほど、この数字は後回しになりやすい。だからこそ、忙しい時期にこそ一度立ち止まって確認する価値がある。原価率と人件貸率をあわせた利益設計の考え方は、コンサルティングページでも詳しく解説している。
C’est parti&Hでは、原価率・人件貸率をあわせた利益設計のご相談を承っています。自店のFL比率が高いのか適正なのか判断がつかない方は、お気軽にご相談ください。
自店の場合を30分で整理したい方へ
「FL比率60%、その内訳まで見ていますか」を自店へ当てはめるには、直近3か月の売上・仕入額・人件費をご用意ください。C’est parti&HのLINE無料相談では、数字を見ながら、最初に変える1項目と、今は触らない項目を整理します。
- 対象:売上はあるのに手元へ利益が残らず、どの数字から直すべきか迷っている飲食店オーナー
- 相談で決めること:現状のボトルネック/優先順位/7日以内の行動
- 相談前の準備:直近3か月の売上・仕入額・人件費

