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【モデル計算】客単価を283円上げた、値上げしない1つの工夫|自店の数字で判断する計算手順

2026 8/27
飲食店コラム
2026年8月11日2026年8月27日
高価格の看板料理と手頃な料理を比較する飲食店の客

売上はあるのに手元へ利益が残らず、どの数字から直すべきか迷っている飲食店オーナーへ。

この記事では「客単価を283円上げた、値上げしない1つの工夫」を、読み物ではなく、自店の数字で判断して次の行動を決めるための材料に変えます。最後まで読むと、最初に確認する数字、今週実行する1項目、専門家へ相談すべき境界が分かります。

【数値の読み方】
この記事内の数値は、出典を明記した統計を除き、改善を保証する実績ではありません。条件を理解するためのモデル計算・試算例です。実際の結果は、業態、立地、営業時間、客数、価格、原価、人員構成で変わります。

金曜19時、満席のカウンターで会計を締めても、客単価はいつもと同じ3,200円のまま動かない。この記事を読み終える頃には、メニュー価格を一律に上げずに、客単価を280円前後動かす「価格帯の設計」を、自分の店の数字に置き換えて考えられるようになっている。

目次

値上げで客数を減らした店の話

原価が上がったからと、全品を8%値上げした店主を何人も見てきた。転嫁自体は間違っていない。だが翌月、レジを締めて粗利額を見て顔色が変わる。原価上昇分はきちんと価格に乗せたはずなのに、客数が想定より落ちて、手元に残る金額は先月とほとんど変わらないか、むしろ減っている。値上げは客単価を動かす手段としては、実は乱暴すぎる方法だ。全品の価格を一斉に動かすと、常連ほど「いつもの店」という感覚から離れていく。

「安い入口×高い看板」という設計

8月、大衆酒場チェーンの鶏ヤローが新業態「すし鳥商店」を開業したというニュースがあった(フードリンクニュース・8月4日付)。焼鳥90円から、寿司120円からという安さを入口に置きながら、本鮪の盛り合わせだけは1,580円という、明らかに桁が違う値段を同じメニュー表に載せている。これは「高いものを売って儲ける」設計ではない。実際に本鮪盛りを注文する客は一部でいい。1,580円という選択肢がメニュー表に存在するだけで、900円や1,200円の商品が「そこまで高くない」と感じられるようになる。行動経済学でいう”アンカリング”、価格の基準点をずらす効果だ。

看板商品に向いているもの

看板商品に向いているのは、原価率が高くても「特別感」を出しやすいものだ。海鮮の盛り合わせ、厚みのある肉の一枚焼き、数量限定の高級食材など、写真映えして注文をためらわせない見た目のものがいい。逆に、地味な煮込み料理を4,800円で置いても、誰も注文しないうえにアンカリング効果も弱い。見た目と価格差が伴って初めて、隣の商品が「お得」に見える。

客単価3,200円の店で試算すると

席数20・客単価3,200円の想定モデルで考えてみる。今のメニューは800円〜2,200円のレンジに収まっていて、価格の「天井」がない。ここに、原価率をやや高めに取っても構わない看板商品を1つ、客単価の1.5倍前後(4,800円想定)で置く。全体の注文のうち5%がこの商品を選び、残り95%の客も、隣に高い選択肢があることで中間価格帯(1,500円〜1,800円)の注文比率が今より1割増えたとすると、客単価は3,200円から3,480円前後まで動く計算になる。値上げは一切していない。

今日の営業後にやること

今夜、レジを締めたら、自分の店のメニュー表を一度全部プリントアウトしてほしい。値段だけを縦に並べてみると、レンジがどれくらい狭いかが一目で分かるはずだ。一番高い商品と一番安い商品の差が、客単価の1.5倍にも届いていないなら、まずは看板商品を1つ足すところから始めればいい。原価率をどこまで許容していいかは、有料note版で計算式ごと解説している。

  • 全品値上げは客数を落とすリスクが高く、乱暴な手段になりやすい
  • 安い入口価格は残したまま、突出した看板商品を1つ置く
  • アンカリング効果で中間価格帯の注文比率が動く
  • 看板商品の原価率は許容ラインを先に決めて設計する

実際にこの「価格帯設計」で客単価がどう動いたか、3店舗分の想定モデルを使ったシミュレーションと、看板商品の原価率をどこまで許容していいかの計算式は、有料note版で詳しく解説している。

メニュー価格の見直しや原価計算は、自己流でやると数字が合わなくなりがちだ。C’est parti&Hでは、原価計算・メニュー設計から実際の数字を使った伴走まで対応している。気になる方はまず経営相談・コンサルティングの内容を見てみてほしい。

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この記事を書いた人

若山 弘貴のアバター 若山 弘貴 CEO / 飲食店コンサルタント

C’est parti&H CEO。元パティシエ・統括料理長として飲食現場に携わり、調理師・製菓衛生師・宅地建物取引士などの資格を保有。飲食店の出店準備、メニュー開発、原価設計、売上改善、物件選びを現場目線で支援しています。

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