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造作譲渡料の相場だけを見て契約すると、なぜ危ないのか
2026年の一都三県における飲食店の居抜き売却(造作譲渡料)相場は、平均でおよそ150万〜350万円と言われています。ただし条件によって0円から1,000万円超まで大きく振れる幅の広い数字で、首都圏1階の坪単価は平均で約23,124円という調査もあります(店舗売却.com・テンポスマート調べ)。 問題は、この造作譲渡料が「初期費用の全部」だと勘違いしてしまうことです。実際には、造作譲渡料に加えて敷金・保証金、仲介手数料、内装の手直し、厨房機器の入れ替えや修繕、什器や食器の買い足し、そして開業後すぐに発生する運転資金がかかります。坪単価が相場より安く見えても、この積み上げを甘く見ると、開業してから足りない分を借り入れで埋める羽目になります。見えないコストが集中する3つのポイント
居抜き契約で見落とされやすいコストは、だいたい3つの場所に集中します。- 設備の老朽化:厨房機器は動いていても、あと1〜2年でコンプレッサーやモーターが寿命を迎えることがある。前オーナーの使用年数を契約書だけでなく、機器本体の製造年表示で確認する必要がある。
- インフラ容量の不足:電気容量やガス配管、給排水の口径が前業態のまま。焼肉店の跡地にラーメン店を入れると、排水の油分処理設備が足りず、後から工事が必要になるケースがある。
- 原状回復・契約条件のリスク:退去時の原状回復義務の範囲が「スケルトン戻し」だと、将来の退去コストまで初期費用に織り込んで考える必要がある。
内見時に確認すべき判断基準
契約前の内見では、次の観点を順番に確認しておくと、後から後悔しにくくなります。- 厨房機器一つひとつの製造年と稼働状況(前オーナーに使用年数を確認する)
- 電気・ガス・給排水の容量が新業態の想定客数・メニューに足りているか
- 契約書に記載された原状回復の範囲(スケルトン戻しか、現状のままでよいか)
- 前業態の閉店理由(家賃が重かったのか、客足が落ちたのか、理由によって見るべきリスクが変わる)
- 坪単価だけでなく、月額家賃と想定売上から逆算した損益分岐点
初期費用の内訳をどう見積もるか
初期費用を見積もるときは、造作譲渡料を起点にするのではなく、開業後3か月分の運転資金まで含めた総額から逆算するのが安全です。例えば席数20・坪数15坪程度の想定モデルで、造作譲渡料220万円、敷金・保証金150万円、内装手直し60万円、厨房機器の追加修繕80万円、什器・備品30万円という条件で積み上げると、開業前だけで540万円に達します。ここに開業後3か月分の運転資金として150万〜200万円を上乗せして初めて、資金繰りに詰まらない計画になります。 坪単価や造作譲渡料の安さだけで「予算内だから大丈夫」と判断するのではなく、この総額と、自分の店の客単価・回転率から見た損益分岐点を照らし合わせることが、開業後の資金繰りを守る一番の近道です。実際の数字を使ったシミュレーションと、業態別の初期費用テンプレートは、有料note版で詳しく解説しています。まとめ
居抜き物件は、うまく使えば開業コストを大きく抑えられる有効な選択肢です。ただし「安さ」の基準を造作譲渡料だけに置いてしまうと、見えないコストが後から積み上がり、開業直後の資金繰りを圧迫します。- 造作譲渡料は初期費用の一部でしかないと理解する
- 設備の老朽化・インフラ容量・原状回復の範囲を内見時に確認する
- 前業態の閉店理由を可能な範囲で調べる
- 開業後3か月分の運転資金まで含めた総額で予算を組む


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