仕込み過ぎで食材と人件費を捨てたくない一方、品切れも避けたい小規模飲食店のオーナー向けに、直近の販売数から翌営業日の仕込み量を決める方法をまとめます。この記事を読むと、勘だけで多めに作る状態をやめ、曜日・予約・営業条件を使って「最初に何食分仕込むか」を判断できます。
結論から言うと、売上全体ではなく商品別の販売数を使い、直近3〜4回の同じ曜日を基準にしてください。全量を完成品にせず、最初に仕上げる量と追加できる予備を分けると、作り過ぎと欠品の両方を抑えやすくなります。
仕込み量は「多めに」ではなく商品別の食数で決める
消費者庁の消費者白書は、外食では仕込んだ量が予想販売量を上回ると食品ロスが発生し、需要予測の精緻化が削減に有効だと説明しています。農林水産省が2026年6月30日に公表した2024年度推計では、事業系食品ロスは237万トンでした。これは自店の損失額ではありませんが、作り過ぎを記録と予測で減らす必要性を示す背景です。
ただし、月間売上だけでは、カレーを何食、サンドイッチを何食仕込むかは決まりません。POSや注文伝票から、対象商品ごとの販売数を営業日単位で取ります。
基本式:同曜日の販売数に予約と営業条件を加える
基準仕込み数=直近3〜4回の同曜日の通常販売数+確定予約数
通常販売数と予約分を分けて記録できない店では、まず過去の総販売数を基準にし、今日の予約が過去より明らかに多い分だけ加えます。予約を二重に足さないことが重要です。
さらに、天候、近隣イベント、祝日、営業時間、販促、団体予約など、販売数を動かした条件を1行で残します。数字が大きく外れた日は消すのではなく、「イベントあり」など理由を付けて通常日の計算から分けます。
計算例:平均29食に予約6食がある場合
以下は判断手順を示す仮定の例で、特定店舗の実績ではありません。
| 項目 | 食数 |
|---|---|
| 3週間前の同曜日・通常販売 | 28食 |
| 2週間前の同曜日・通常販売 | 31食 |
| 前週の同曜日・通常販売 | 29食 |
| 通常販売の平均 | 約29食 |
| 当日の確定予約 | 6食 |
| 基準仕込み数 | 35食 |
最初から38食を完成させるのではなく、35食を基準にし、追加3食分は短時間で仕上げられる状態に止めます。販売が早ければ追加し、遅ければ翌日に安全に回せる未加工食材のまま残します。保存や再加熱は食材と工程ごとの衛生基準に従い、無理な持ち越しはしません。
7日間で仕込み量を決める5ステップ
1.対象商品を3品に絞る
まず、廃棄額が大きい、欠品が多い、仕込み時間が長い商品のうち3品を選びます。前回の週1回の棚卸し差異で廃棄や作り置きが見つかった食材から始めると、改善対象をつなげられます。
2.同曜日の販売数を3〜4回分集める
月曜と土曜、雨天と晴天、通常営業とイベント日は同じ母集団にしません。記録が少ない間は直近3回、たまったら4回程度を並べ、外れた理由も残します。
3.予約と営業条件を補正する
確定予約、席数変更、営業時間短縮、近隣イベント、販促の有無を確認します。根拠のない「念のため10食追加」ではなく、予約人数や過去の同条件との差に置き換えます。
4.完成仕込みと予備仕込みを分ける
開店前に完成させる量、途中で追加できる半加工量、未加工のまま残す量を決めます。私は飲食業界20年、元統括料理長として40拠点のマネジメントに関わってきましたが、予測を当て切ることより、売れ行きに応じて追加できる工程へ分ける方が現場で続けやすいと考えています。
5.閉店時に差を記録する
「基準仕込み数・追加数・販売数・廃棄数・欠品時刻」を1行にします。翌週は、廃棄が出た商品だけ1〜2食減らす、欠品した商品だけ予備を増やすなど、変更を1つに絞ります。
仕込み予測表に必要な項目
- 日付、曜日、営業時間
- 商品名、通常販売数、予約確定数
- 天候、祝日、イベント、販促の有無
- 開店前の完成仕込み数
- 追加可能な予備数と追加時刻
- 実販売数、廃棄数、欠品時刻
- 翌週に変える量と理由
農林水産省が整理した外食企業の取組にも、客数・出数予測の精度向上、きめ細かな発注と販売予測、売上予測に基づく適正な仕込み量が挙げられています。高価な需要予測システムがなくても、まずは3商品・7日間の表から始められます。
今日から使うチェックリスト
- 廃棄額・欠品・仕込み時間から対象3品を選んだ
- 直近3〜4回の同曜日販売数を集めた
- 予約分を二重に加えていない
- イベント、天候、営業時間の違いを記録した
- 完成仕込みと追加できる予備を分けた
- 閉店時に販売数、廃棄数、欠品時刻を記録した
- 翌週に変える商品と食数を1つに絞った
自分でできる範囲と、相談した方がよい基準
POSまたは注文伝票から商品別販売数を出せて、3品の仕込み工程を分けられるなら、まず自店で試せます。一方、商品別データが取れない、予約と通常販売を分けられない、複数店舗で基準が異なる、廃棄と欠品が同時に続く、仕込みを減らすと提供時間が崩れる場合は、販売・在庫・人員配置を一緒に整理した方が早く進みます。
まとめ:予測を当てるより、毎週ずれを小さくする
仕込み量は、直近の同曜日販売数と確定予約を基準にし、営業条件を記録して決めます。完成仕込みと追加できる予備を分け、販売・廃棄・欠品の差を翌週に反映してください。最初は廃棄額が大きい3商品を7日間だけ追えば十分です。
LINE無料相談の対象:仕込み過ぎによる廃棄と、仕込み不足による欠品の両方に悩む飲食店オーナーです。相談では、商品別販売数、予約、仕込み工程、廃棄、欠品時刻を整理します。直近4週間のPOSまたは注文伝票、予約表、対象3商品のレシピと仕込み表、廃棄記録をご準備ください。内容を確認後、自店で直せる範囲と必要な支援を分けてご案内します。

