金曜19時、ホールが満席で4人ぎりぎりの回転をしているのに、シフトは3人で回している。厨房から呼ばれるコール音に「すみません、今出ます」と答えながら、来月の求人媒体の請求書がまだ机の上に乗ったままだ——。
そんな夜を繰り返している店は少なくない。
この記事を読み終える頃には、求人媒体に頼り続けるのではなく、いま働いているスタッフの紹介で採用コストと定着率を同時に改善する仕組みの作り方が1つ手に入る。
飲食店の人手不足は「求人を出せば解決する」段階を過ぎている
帝国データバンクが2026年4月に公表した調査では、非正社員が不足していると答えた飲食業は59.1%にのぼる。厚生労働省のデータでも、飲食物調理の有効求人倍率は2.37倍、接客・給仕は2.42倍で、応募自体が集まりにくい状態が続いている。2025年度の人手不足倒産は441件と過去最多を更新した。求人媒体に出稿を重ねても応募が来ない、来ても定着しない、という相談は年々増えている印象がある。
求人媒体だけに頼ると、コストは膨らみ続ける
求人媒体への出稿は即効性があるように見えて、実際は掲載期間ごとに費用がかかり、採用できなければまた次の掲載費が発生する。ある調査では、リファラル採用(スタッフの紹介による採用)を導入した企業が、導入から1年後には新規採用の85%を紹介経由でまかなえるようになり、年間約480万円かかっていた求人媒体費がほぼゼロになった事例が報告されている。飲食店の規模ではここまでの額にはならなくても、複数媒体に毎月出稿し続けている店なら、年間の掲載費だけで数十万円単位になっているはずだ。
紹介で入ったスタッフは、なぜ辞めにくいのか
紹介採用が効くのは、コスト面だけではない。紹介で入るスタッフは、すでに店で働いている友人・知人から忙しい時間帯や仕事の大変さといった現場のリアルな状況を事前に聞いた上で応募してくる。入社後に「聞いていた話と違う」というギャップが起きにくく、定着率が媒体経由の採用より3倍以上長く続くというデータもある。23時、閉店後の片付けをしながら「また一人辞めた」と店長がため息をつく光景は、紹介制度があるだけでかなり減らせる。
今日からできる紹介採用の始め方
- 紹介してくれたスタッフに紹介手当(相場は1人あたり5,000円前後)を用意する
- 採用された本人にも同額程度の手当をつけ、応募のハードルを下げる
- 「知り合いを紹介してほしい」とスタッフに直接、具体的に声をかける(制度を作るだけでは伝わらない)
紹介手当を含めても1人あたりの採用コストは1万円前後で収まることが多く、求人媒体1本の掲載費より安く済むケースがほとんどだ。ただし紹介だけに全面的に切り替えると採用人数が急に不足する時期も出てくる。媒体との併用比率や、紹介が集まりやすいタイミングの見極め方は、実際の数字を使ったシミュレーションとあわせて有料note版で解説している。
まとめ:採用は「探す」から「紹介してもらう」への切り替え
- 飲食業の非正社員不足は59.1%、有効求人倍率2倍超が続き、媒体に出しても応募が来にくい状況が続いている
- リファラル採用は年間の求人広告費を大きく圧縮でき、定着率も媒体経由より高くなりやすい
- まずは紹介手当の金額を決め、スタッフに直接声をかけることから始められる
採用の仕組みを紹介中心に切り替えるかどうかは、今のシフト状況や人件費率とあわせて判断したいところだ。アッシェ企画では、採用・人件費まわりの仕組みづくりを、現場の数字をもとに一緒に整理するところから支援している。
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