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【モデル計算】居抜き物件の”安さ”で失敗する店に共通する7つの見落とし|契約前チェックリスト付き

2026 8/27
飲食店コラム
2026年7月11日2026年8月27日
居抜き物件の内見で厨房設備とチェックリストを確認する店主

出店判断や居抜き物件の契約前に、想定外の支出を防ぎたい開業予定者へ。

この記事では「居抜き物件の”安さ”で失敗する店に共通する7つの見落とし」を、読み物ではなく、自店の数字で判断して次の行動を決めるための材料に変えます。最後まで読むと、最初に確認する数字、今週実行する1項目、専門家へ相談すべき境界が分かります。

【数値の読み方】
この記事内の数値は、出典を明記した統計を除き、改善を保証する実績ではありません。条件を理解するためのモデル計算・試算例です。実際の結果は、業態、立地、営業時間、客数、価格、原価、人員構成で変わります。

物件の内見で厨房設備がそのまま使えると聞き、その場で契約を決めた夜がある。造作譲渡料は220万円、相場より安いと聞いていたし、厨房も綺麗に見えた。ところが開業から3週間、排水管の水漏れで工事業者を呼んだら、見積書に120万円という数字が並んだ。図面には載っていない配管の劣化は、内見の数十分では分からない。 この記事を読み終える頃には、居抜き物件を「造作譲渡料の安さ」だけで判断せず、初期費用の全体像を数字で見積もれるようになっている。今日の内見や契約前チェックに、そのまま使える基準として持ち帰ってほしい。
目次

造作譲渡料の相場だけを見て契約すると、なぜ危ないのか

2026年の一都三県における飲食店の居抜き売却(造作譲渡料)相場は、平均でおよそ150万〜350万円と言われています。ただし条件によって0円から1,000万円超まで大きく振れる幅の広い数字で、首都圏1階の坪単価は平均で約23,124円という調査もあります(店舗売却.com・テンポスマート調べ)。 問題は、この造作譲渡料が「初期費用の全部」だと勘違いしてしまうことです。実際には、造作譲渡料に加えて敷金・保証金、仲介手数料、内装の手直し、厨房機器の入れ替えや修繕、什器や食器の買い足し、そして開業後すぐに発生する運転資金がかかります。坪単価が相場より安く見えても、この積み上げを甘く見ると、開業してから足りない分を借り入れで埋める羽目になります。

見えないコストが集中する3つのポイント

居抜き契約で見落とされやすいコストは、だいたい3つの場所に集中します。
  • 設備の老朽化:厨房機器は動いていても、あと1〜2年でコンプレッサーやモーターが寿命を迎えることがある。前オーナーの使用年数を契約書だけでなく、機器本体の製造年表示で確認する必要がある。
  • インフラ容量の不足:電気容量やガス配管、給排水の口径が前業態のまま。焼肉店の跡地にラーメン店を入れると、排水の油分処理設備が足りず、後から工事が必要になるケースがある。
  • 原状回復・契約条件のリスク:退去時の原状回復義務の範囲が「スケルトン戻し」だと、将来の退去コストまで初期費用に織り込んで考える必要がある。
金曜19時、満席に近い客入りでも、厨房の奥で機器が不調を起こして提供が遅れる。そんな場面を作らないためには、内見の段階でこの3つを聞く、あるいは専門業者に同行してもらうことが遠回りに見えて一番早い道になります。

内見時に確認すべき判断基準

契約前の内見では、次の観点を順番に確認しておくと、後から後悔しにくくなります。
  • 厨房機器一つひとつの製造年と稼働状況(前オーナーに使用年数を確認する)
  • 電気・ガス・給排水の容量が新業態の想定客数・メニューに足りているか
  • 契約書に記載された原状回復の範囲(スケルトン戻しか、現状のままでよいか)
  • 前業態の閉店理由(家賃が重かったのか、客足が落ちたのか、理由によって見るべきリスクが変わる)
  • 坪単価だけでなく、月額家賃と想定売上から逆算した損益分岐点
特に前業態の閉店理由は、不動産会社に聞いても濁されることが多い項目です。近隣の店舗や町内会に軽く聞いてみるだけでも、契約書だけでは見えない事情が分かることがあります。

初期費用の内訳をどう見積もるか

初期費用を見積もるときは、造作譲渡料を起点にするのではなく、開業後3か月分の運転資金まで含めた総額から逆算するのが安全です。例えば席数20・坪数15坪程度の想定モデルで、造作譲渡料220万円、敷金・保証金150万円、内装手直し60万円、厨房機器の追加修繕80万円、什器・備品30万円という条件で積み上げると、開業前だけで540万円に達します。ここに開業後3か月分の運転資金として150万〜200万円を上乗せして初めて、資金繰りに詰まらない計画になります。 坪単価や造作譲渡料の安さだけで「予算内だから大丈夫」と判断するのではなく、この総額と、自分の店の客単価・回転率から見た損益分岐点を照らし合わせることが、開業後の資金繰りを守る一番の近道です。実際の数字を使ったシミュレーションと、業態別の初期費用テンプレートは、有料note版で詳しく解説しています。

まとめ

居抜き物件は、うまく使えば開業コストを大きく抑えられる有効な選択肢です。ただし「安さ」の基準を造作譲渡料だけに置いてしまうと、見えないコストが後から積み上がり、開業直後の資金繰りを圧迫します。
  • 造作譲渡料は初期費用の一部でしかないと理解する
  • 設備の老朽化・インフラ容量・原状回復の範囲を内見時に確認する
  • 前業態の閉店理由を可能な範囲で調べる
  • 開業後3か月分の運転資金まで含めた総額で予算を組む
今日これから物件情報を見るなら、まず1件、造作譲渡料以外の内訳(敷金・内装・機器修繕・運転資金)を紙に書き出してみてください。数字にした瞬間に、その物件が本当に「安い」のかどうかが見えてきます。 C’est parti&Hでは、居抜き物件選びから資金計画、開業後の原価・利益管理まで、飲食店経営者に伴走する形でコンサルティングを行っています。物件選びの段階で不安がある方は、一度整理してみませんか。出店・物件選びの支援について詳しくはこちら。
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この記事を書いた人

若山 弘貴のアバター 若山 弘貴 CEO / 飲食店コンサルタント

C’est parti&H CEO。元パティシエ・統括料理長として飲食現場に携わり、調理師・製菓衛生師・宅地建物取引士などの資格を保有。飲食店の出店準備、メニュー開発、原価設計、売上改善、物件選びを現場目線で支援しています。

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