売上はあるのに手元へ利益が残らず、どの数字から直すべきか迷っている飲食店オーナーへ。
この記事では「飲食店の営業利益率を3数字で診断」を、読み物ではなく、自店の数字で判断して次の行動を決めるための材料に変えます。最後まで読むと、最初に確認する数字、今週実行する1項目、専門家へ相談すべき境界が分かります。
飲食店の数字を見るとき、「売上は前年より上がった」で止まっていないでしょうか。売上が伸びても、粗利率や人件費率が悪化すれば、手元に利益は残りません。
日本政策金融公庫が2026年8月に公表した2025年度の「小企業の経営指標調査」では、公庫融資先の一般飲食店464社の売上高営業利益率は平均マイナス2.2%でした。黒字かつ自己資本がプラスの企業群は166社で、その比較欄の営業利益率は平均4.3%です。差は6.5ポイントあります。
私は飲食業界で20年、元統括料理長として40拠点のマネジメントに携わってきました。その経験からも、改善の最初に見るべきなのは売上額だけではなく、「粗利率・人件費率・営業利益率」の3数字だと考えています。この記事では、最新の公的データを基準に、自店の数字を30日で診断する方法を整理します。
結論:平均を目標にせず、3数字の差から優先順位を決める
この数値は業界全体を表すものではなく、日本政策金融公庫・国民生活事業の融資先法人企業のうち、従業者50人未満の企業を対象にしたサンプル平均です。「ここまで行けば安心」という目標でもありません。業態、立地、店舗規模、営業時間が違うため、自店を機械的に平均へ合わせるのは危険です。使い方は、自店の異常値を見つけるための警報装置です。
| 確認する数字 | 公庫融資先の一般飲食店平均 | 黒字・自己資本プラス企業群の平均 | 差を見る目的 |
|---|---|---|---|
| 売上高総利益率 | 65.0% | 67.8% | 原価、ロス、価格、商品構成を確認 |
| 人件費対売上高比率 | 32.9% | 31.5% | シフト、作業量、生産性を確認 |
| 売上高営業利益率 | −2.2% | 4.3% | 本業全体で利益が残る構造か確認 |
3数字を同時に見ると、課題の場所を切り分けられます。粗利率が低ければ原価や商品構成、人件費率が高ければシフトやオペレーション、両方が基準内なのに営業利益率が低ければ家賃、決済手数料、広告費、消耗品費などを優先します。
月商500万円なら、6.5ポイントは月32.5万円になる
月商500万円のモデルで計算します。
- 営業利益率−2.2%:500万円×−2.2%=月11万円の営業赤字
- 営業利益率4.3%:500万円×4.3%=月21万5,000円の営業利益
- 差:月32万5,000円、年間では390万円
これは実在店舗の改善実績ではなく、公表された比率を月商500万円へ当てはめた計算例です。ただし、6.5ポイントの差を放置したときの大きさは具体的に把握できます。
差を3つの改善枠へ分ける
例えば、6.5ポイントを一度に埋めようとせず、次のように仮置きします。
| 改善枠 | 仮の目標 | 月商500万円での効果 | 最初に見る項目 |
|---|---|---|---|
| 粗利率 | +2.0ポイント | 月10万円 | 廃棄、盛り付け量、売れ筋構成、価格 |
| 人件費率 | −1.0ポイント | 月5万円 | 時間帯別売上、仕込み時間、残業、配置 |
| その他経費 | −3.5ポイント | 月17万5,000円 | 家賃、手数料、広告、消耗品、定額契約 |
上の配分はあくまで診断用の仮定です。自店では、金額効果が大きく、現場品質を落とさず、30日以内に検証できる項目を1つだけ最優先にします。
30日で利益構造を診断する進め方
1〜3日目:直近3か月の3数字を揃える
担当はオーナーまたは経理担当です。月次の試算表から売上高、売上総利益、人件費、営業利益を抜き出し、3か月分を同じ定義で並べます。締め日は翌月10日までを目安に固定します。
- 粗利率=売上総利益÷売上高×100
- 人件費率=人件費÷売上高×100
- 営業利益率=営業利益÷売上高×100
4〜7日目:率ではなく金額差へ直す
「人件費率が1ポイント高い」で止めず、売上高を掛けて月額へ直します。月商500万円なら1ポイントは5万円です。現場に伝えるときも、率と金額をセットにすると優先順位を共有しやすくなります。
8〜21日目:担当・期限・KPIを1つに絞る
改善案を同時に増やすと、何が効いたか分からなくなります。例えば「廃棄額を毎日記録し、14日間で売上比0.5ポイント下げる」のように、担当者、期限、KPIを1行で決めます。
22〜30日目:金額効果と副作用を確認する
利益だけでなく、客数、客単価、提供時間、クレーム、残業時間も確認します。利益が増えても客数や品質が大きく落ちた施策は継続しません。期待効果と実績の差を記録し、翌月は次の1項目へ進みます。
実行チェックリスト
- 直近3か月の粗利率・人件費率・営業利益率を同じ定義で出した
- 公庫融資先のサンプル平均を目標ではなく、異常値を探す比較材料として使った
- ポイント差を月額へ換算した
- 最優先の課題を1つに絞った
- 担当者、期限、KPI、期待効果を1行で決めた
- 客数、品質、提供時間などの副作用も追った
- 30日後に継続・修正・中止を判断する日を決めた
まとめ:売上ではなく、利益が残る場所を特定する
公庫融資先の一般飲食店サンプルでは、営業利益率の全体平均は−2.2%、黒字かつ自己資本プラス企業群の比較値は4.3%で、差は6.5ポイントです。月商500万円へ単純に当てはめると月32万5,000円に相当します。
ただし、平均値へ一気に合わせる必要はありません。粗利率・人件費率・営業利益率の3数字を揃え、金額効果が大きく、30日で検証できる課題から1つずつ進めてください。
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出典
自店の場合を30分で整理したい方へ
「飲食店の営業利益率を3数字で診断」を自店へ当てはめるには、直近3か月の売上・仕入額・人件費をご用意ください。C’est parti&HのLINE無料相談では、数字を見ながら、最初に変える1項目と、今は触らない項目を整理します。
- 対象:売上はあるのに手元へ利益が残らず、どの数字から直すべきか迷っている飲食店オーナー
- 相談で決めること:現状のボトルネック/優先順位/7日以内の行動
- 相談前の準備:直近3か月の売上・仕入額・人件費

