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飲食店のABC分析|売上1位でも利益が残らない商品を粗利額で見直す

2026 9/10
飲食店コラム
2026年9月10日
飲食店のABC分析で売上1位の商品を粗利額から見直す記事アイキャッチ

売上は出ているのに利益が残らず、「どの商品から直せばよいか」が分からない小規模飲食店オーナーへ。

この記事では、メニュー別の売上・出数・粗利額を並べるABC分析を使い、売上上位の商品を感覚で値上げ・削除する前に、利益を圧迫している商品を見分ける手順を解説します。今日中にPOSデータと原価表から対象商品を3つまで絞れる形にしました。

帝国データバンクの2026年7月調査では、企業全体の価格転嫁率は39.9%で、原材料費の転嫁率も47.3%でした。また同社の2026年2月調査では、飲食店の価格転嫁率は32.8%と報告されています。調査対象や定義には注意が必要ですが、仕入れ上昇分を販売価格へそのまま移せない店ほど、「何が売れたか」だけでなく「何が粗利を残したか」を確認する必要があります。

目次

飲食店のABC分析は、売上順位だけで終わらせない

ABC分析は、商品別の実績を大きい順に並べ、構成比と累計構成比から重点管理する商品群を分ける方法です。東芝テックは飲食店向けの解説で、売上だけでなく、出数と粗利についても集計し、総合的にメニュー改訂を検討する必要があるとしています。

売上順位だけを見ると、高単価でよく出る商品が上位になります。しかし、その商品が高原価で、仕込み時間も長ければ、売れているのに店全体の利益が薄くなることがあります。反対に、売上順位は2位でも、1食あたりの粗利額が大きく、短時間で安定して提供できる商品は、利益改善の軸になり得ます。

最初に用意する数字は5つです

対象期間を直近4週間、または営業日数が同程度の1か月にそろえ、主力商品から次の5項目を集めます。

  1. 商品名
  2. 販売価格(税込・税抜の基準を統一)
  3. 販売数
  4. 1食あたりの食材原価
  5. 仕込み・盛り付け・提供に必要な時間

原価表が古い場合は、少なくとも販売数上位10品だけでも直近の納品価格へ更新します。全品を完璧にするまで待つより、利益への影響が大きい商品から確認する方が早く判断できます。

粗利額で見るABC分析の3ステップ

1. 商品別の月間粗利額を出す

計算式は次の通りです。

1食あたり粗利額=販売価格-1食あたり食材原価
月間粗利額=1食あたり粗利額×販売数

ここでは食材原価を引いた段階の粗利を扱います。人件費、家賃、決済手数料、広告費などは含まれません。したがって、粗利額が大きいだけで最終利益が大きいと断定せず、後の工程で提供時間や追加費用も確認します。

2. 粗利額の大きい順に並べる

各商品の月間粗利額を合計し、商品ごとの構成比を出します。

粗利構成比=商品別月間粗利額÷全商品の月間粗利額

東芝テックの例では、累計75%までをA、75%超から95%以下をB、それ以外をCとしています。ただし、この境界は絶対的な合否基準ではありません。店の品数や季節性に合わせ、重点的に見る範囲を決めるための目安として使います。

3. 売上順位・出数順位と重ねる

粗利Aの商品でも出数が少なければ、認知やメニュー配置に改善余地があります。出数Aなのに粗利Cなら、値付け、ポーション、仕入れ単価、セット構成、提供工程を確認します。売上・出数・粗利の3つを重ねることで、「人気がない」のか「売れても利益が薄い」のかを分けられます。

計算例:売上1位と粗利1位は同じとは限らない

以下は手順を示すためのモデル計算です。実在店舗の実績ではありません。

商品 販売価格 食材原価 販売数 月間売上 月間粗利額
Aコース 1,600円 800円 100食 160,000円 80,000円
Bパスタ 1,200円 300円 120食 144,000円 108,000円
Cサイド 700円 140円 100食 70,000円 56,000円

Aコースは売上1位ですが、粗利額ではBパスタが1位です。売上順位だけでAコースを看板商品として強く押すと、粗利改善の機会を逃す可能性があります。

ただし、Bパスタに長い仕込みや熟練者の作業が必要なら評価は変わります。東芝テックの解説でも、メニュー原価には労務費が含まれないため、材料以外の経費確認が必要とされています。次に1食あたり提供時間と混雑時のボトルネックを記録してください。

4つの組み合わせで改善策を決める

出数が多く、粗利額も大きい

主力として守る商品です。欠品、品質低下、提供遅れを防ぎ、メニュー上の見つけやすさを維持します。

出数が多く、粗利額が小さい

値上げだけでなく、ポーション、付け合わせ、仕入れ規格、セット化を確認します。お客様の支持があるため、急な削除は避け、1変数ずつ試します。

出数が少なく、粗利額が大きい

メニュー上の位置、写真、商品説明、スタッフの提案で注文率を高める余地があります。2週間など期間を決め、表示や声かけだけを変えて販売数を比較します。

出数が少なく、粗利額も小さい

改廃候補です。ただし、季節商品、集客商品、コース構成に必要な商品は役割が別です。単品の数字だけで即時削除せず、目的を確認します。

今日実行するチェックリスト

  • 対象期間を直近4週間または1か月に統一した
  • 販売数上位10品の販売価格と食材原価を更新した
  • 1食あたり粗利額と月間粗利額を計算した
  • 売上・出数・粗利額の3順位を並べた
  • 出数が多く粗利額が小さい商品を3品まで絞った
  • 仕込み・提供時間と追加手数料を確認した
  • 変更する項目を価格、量、仕入れ、セット、表示のうち1つに絞った
  • 変更前の販売数と粗利額を保存し、2週間後に比較する日を決めた

店全体の利益構造から先に確認したい場合は、飲食店経営の無料5分診断も使えます。原価表の更新方法は飲食店の原価管理、作業時間まで含めた判断は1人時売上高でシフトを見直す手順で補足しています。

自己対応できる範囲と、専門支援を使う判断基準

POSから商品別売上と販売数を出せて、上位商品の原価表が更新されているなら、初回のABC分析は自店で実施できます。まず10品、1期間、1つの変更から始めてください。

一方、次の状態なら、値上げやメニュー削除の前に第三者と数字を整理する意味があります。

  • 原価表と実際の仕入額が合わず、差の原因を分けられない
  • 人気商品を直すと客離れしそうで判断できない
  • 粗利は出ているのに、人件費や手数料を含めると利益が残らない
  • 厨房の提供能力が詰まり、売上機会を失っている
  • 店長、料理長、経営者で優先商品が一致しない

私は飲食業界で20年、統括料理長と40拠点のマネジメントを経験してきました。現場の感覚は大切ですが、変更前後の数字を残さないと、改善が効いたのかを判断できません。C’est parti&Hでは、商品別の数字と現場オペレーションを分けずに整理します。

売れているのに利益が残らない商品を整理したい方へ

LINE無料相談では、商品別の売上・出数・粗利額を見ながら、最初に直す商品と、今は触らない商品を整理します。

  • 相談対象:売上はあるが利益が残らず、メニュー改定の優先順位を決めたい飲食店オーナー
  • 相談で整理できること:利益を圧迫する商品の候補、変更する1変数、2週間後の判定指標
  • 準備する情報:直近4週間の商品別売上・販売数、上位10品の食材原価、主な提供時間
  • 相談後の流れ:現状確認後、自己対応できる範囲と、必要な場合の支援範囲を分けてご案内します
LINE無料相談で商品別の利益を整理する

まとめ

飲食店のABC分析は、売上順位だけでは不十分です。売上、出数、粗利額を並べ、提供時間や手数料まで確認して、初めて改善対象が見えます。まず直近4週間の上位10品から、出数が多いのに粗利額が小さい商品を3品まで絞ってください。変更は1つに絞り、2週間後の販売数と粗利額で判断します。

参考資料

  • 帝国データバンク「価格転嫁に関する実態調査(2026年7月)」
  • 帝国データバンク「価格転嫁に関する実態調査(2026年2月)」
  • 東芝テック「ABC分析の考え方と飲食店での活用法」
  • よろず支援拠点全国本部「原材料の高騰による利益率の低下を販売価格の見直しにより大幅な利益改善を図る」

飲食店経営のご相談は C'est parti&H へ

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この記事を書いた人

若山 弘貴のアバター 若山 弘貴 CEO / 飲食店コンサルタント

C’est parti&H CEO。元パティシエ・統括料理長として飲食現場に携わり、調理師・製菓衛生師・宅地建物取引士などの資格を保有。飲食店の出店準備、メニュー開発、原価設計、売上改善、物件選びを現場目線で支援しています。

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